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COLUMN

コラム

い草

繋がるものづくり-い草染色職人 下川定さんが語る、い草と暮らし-

シリーズ「繋がるものづくり」では、イケヒコ商品に携わる全ての方々(生産者・加工先・開発者・お客様)の生の声を取り上げることで、イケヒコとお客様を繋げていく事を目的としています。

い草染色職人 下川定さんが語る、い草と暮らし

今回は、福岡県の筑後市でい草の染色職人としてい草の染色を行なっております、染色職人の下川定さんをご紹介させて頂きます。

[職人]

下川 定

Sadamu Shimogawa

1963年4月12日生まれ。

26歳の頃に、家業であったい草の染色業を継ぐ。

以来30数年間に渡り、時代の変化に合わせながらい草の染色業を続ける。

Interview


仕事の流れ

い草染め職人 下川定さんが語る、い草と暮らしい草を染めるための染色機。水を沸騰させて染料を溶かしていく。

1日の仕事の流れは、まず織り屋さんから持ち込まれたい草を、染色機に入る分量に小分けすることから始めます。その次に、専用の網に入れたい草を色別に分けて、染色機の前まで移動させます。その間に、染色機のボイラーで水を沸かして染料を溶かします。染色の準備はここまでです。

染料の調整は、今までの経験で決めることもありますが、品種も変化していますので、その時その時の状況を見ながら調整しています。

染色作業としては、染色機に入れた染料が水に溶けたかを確認し、網に入れたい草を染色機に入れていきます。そこから約1時間かけて、それぞれの色に炊き込んでいきます。

い草が染め上がったら、5分ほど円心脱水をかけてい草表面の水分を飛ばしていきます。

い草の重量は、脱水が終わった時点で9kg程の重さにまでなっています。蒸気の上がる染色機の前は、40°から50°にまで温度が上がりますので、滝のように汗が流れます。

脱水したい草は、乾燥機に拡げます。この乾燥作業は特に時間がかかります。かかる時間はい草の量によっても違ってきますが、シーズン中の忙しい時期は、40kg前後のい草を16時間かけて乾燥させます。

職人として

い草染め職人 下川定さんが語る、い草と暮らし重さ9kgにまでなったい草を染色機から取り出していく。

この仕事を初めて30数年になりますが、今から20数年前、海外からい草が入ってきた事が、今までで一番大きな出来事であったと思います。

色の付き方が少し違う、今までにない品質のい草が入ってきたわけですから、染め方も、それまで手作業で行なっていたものを自動化するために機械を導入したり、染める時間や乾燥させる時間も変えてみるなど、大きく変えていきました。

現在、私の所には100%国産のい草のみを仕入れておりますが、職人としては、国産であろうが海外産であろうが、同じ植物であるわけですから、色の付くメカニズムをよく観察し、その差を学習して、何色にでも染めなくてはいけないと思っております。

私の考えとしては、「国産だからいい」と言うよりも、製品にならなかったい草、なれなかったい草をきちんと再生させて、国内のい草の発展、国産い草をなるべく使うことで、地域の発展に繋げていくと言う気持ちで行なっています。

自然界の一員として

い草染め職人 下川定さんが語る、い草と暮らし染め上がったい草を半日以上かけて乾燥させる。

私の見方では、い草は植物として見ています。古代の人々が暮らしの中で使う道具を作るための一つの素材であって、その中に、豊かさを求めるために色を付けて一つの敷物として作っていったのが、花ござの始まりではないかと思います。

そのような中で、例えば植物の上に直接眠るという事が少なくなってほとんど無機製品になっていった中で、有機物もしくは植物として直接体に触れる。そのような天然の素材として、い草が原型として残っている最終的なものではないかと思うのです。

だからこそ使って頂く方々には、例えばい草シーツだったら、自分は植物の上に寝ているんだということを体験してもらいたい。

直接植物の刈り取ったものをーアルプスの少女ハイジのように、草原や干し草のベッドの上で寝ているようにー生活の中で使っているのだということを感じ取って頂いて、私たち人間も、自然界の中で生きているんだという事を実感して頂きたい。

昔はこのような形で生活していたのだというところから、人間も自然界の一員なんだという事を感じて頂きたいです。

語りかけていく

い草染め職人 下川定さんが語る、い草と暮らし機械には色とりどりのい草が並べられている。

今までこの仕事を続けてきた中で、人間として見た中で、そこで働く人の生きがいや生き様、その人の人生観をよく観察することができる、色んな方に会える、特にご年配の方とお話をする機会が多い、ものづくりに携わる人の考えが十分に聞けるという事では、この仕事を続けてきてよかったと思います。

自然素材を作っておられる方々の色々な考えを伺いますと、暮らしの中で使うもの、もしくは昔から暮らしの中で生きてきたというものの中に振り返りながら、「大切なものは何か」と、皆さんに感じてもらえるように、それを語りかけなくてはいけないと、そしてそれは、品物を持って語りかけなくてはいけないという事をおっしゃっていました。

やはり私としても、品物を持って語りかけるという形で、暮らしの歴史であり文化であり、その良さと言ったものを、使って頂く方々に伝えて少しでも共感して頂いて、また、い草という植物に対して、深い理解や考えを新たにしてもらえることができたらと考えております。


収録日:2020年2月18日
収録場所:福岡県筑後市
構成・撮影:伊東朋宏
企画:株式会社イケヒコ・コーポレーション


株式会社イケヒコ・コーポレーション

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